「綿100%カーディガン沼にハマった話」

※登場人物は全て仮名です。素材の良さに目覚めた女性のお話

ポリエステル地獄からの生還を夢見て

「もう無理……この"ビニール袋感"に耐えられない」

32歳、都内IT企業勤務の私・美咲は、オフィスのトイレで三度目のカーディガン脱ぎ捨てることを決心していた。

背中がヌルヌル。脇の下はムワムワ。冷房で冷えたかと思えば、少し動くと蒸し風呂。この「速乾・形態安定・高機能」と謳われたポリエステル100%カーディガンは、私の体温調節機能を完全に狂わせていた。

「なんでこんなの買っちゃったんだろう……」

答えは明白。安かったからである。あとね・・・すごく乾くのが早いんだわ

お値段は1,980円。セールで。3枚買った。黒、グレー、ネイビー。全部ポリエステル。全部蒸れる。全部におう。洗濯しても、なんとなく臭いが残る。柔軟剤を大量投入しても、汗をかけば復活する謎の発酵臭。

「もう化学繊維はコリゴリ……天然素材……天然素材はどこ……」

その夜、私はスマホで必死に検索していた。

綿100% カーディガン オフィス 蒸れない(蒸れないの大事!)


運命のドルマンニット綿100%との出会い

そして、出会ってしまった

リピーター続出の綿100%カーディガン

レビュー欄が異様に熱い。

「これさえあれば!の逸品に出会えました」★★★★★
「もう3枚持ってます」★★★★★
「これ以外着られなくなった」★★★★★

「……怪しい。怪しすぎる。宗教か?ステマjか?」

でも、読めば読むほど引き込まれる。リピーターも多い

あと、大人のこなれ感って何?私の中の「安物買いの銭失い」センサーが警告を発する。でも、ポリエステル3枚組を買って失った後悔と、この先出会えるかもしれない快適さを思えば……。

「……ポチるか」

カートに入れる。色はグレージュ。サイズはM。決済ボタンを押す瞬間、なぜか心臓がドキドキした。

翌々日、運命は段ボールに入って届いた。


沼への入口は、思いのほか優しかった

開封。

「……軽っ!?」「えっ?可愛い!」

まず驚いたのが重量。ポリエステル組が装甲服だとしたら、これは羽衣だ。

袖を通す。

「……あ」

触れる肌が、喜んでいる。袖口きゅっとしまっててかわいい

これまでのカーディガンは「着る」ものだった。でもこれは「纏う(まとう)」ものだ。空気の層が体を包む感覚。ふわっとしているのに、ちゃんと温かい。

試しに10分ほど着てみる。背中、サラサラ。脇、ムレない。

「……マジか」

出勤。オフィスの冷房に突撃。

3時間経過。背中、サラサラ。

ランチで外出。気温28度。

戻ってきても、蒸れてない。

「なにこれ……魔法……?」

その日の夕方、私は既にスマホを開いていた。同じカーディガンのページ。色違い。ベージュとチャコールグレー。

カートに入れる。

「いや待て、冷静になれ私……まだ1日しか着てないぞ……?」

でも指は、決済ボタンを押していた。


【加速】毎日コーデ、無限の可能性

届いた3色を並べて、私は気づいてしまった。

「これ……今持ってる服に全部に合うじゃん!?」

着回し、無限。

「やばい……毎朝の"何着よう地獄"から解放された……」

そしてもう一つ、重大な発見。

洗濯が、楽しい。

ポリエステル組は、洗っても洗っても臭いが気になって憂鬱だった。でも綿100%は洗うたびにふんわり。むしろ洗いたい。洗濯カゴに入れる瞬間、変な達成感すらある。

同僚の沙織が聞いてきた。

「美咲ちゃん、最近カーディガンばっか着てない? そのグレーのやつ、かわいいね」

「え、あ、うん……実は最近、綿100%のカーディガンにハマっちゃって……」

少しだけ、語ってしまった。

ポリエステル時代の背中蒸れ事件。5,980円で快適さを知った話。毎日着たくなる心地よさ。

沙織は目を輝かせて言った。

「それ、どこの!? 私も買ってみようかな」

「ほんと、おすすめだよ」


【結】気づけば、綿100%の魅力にハマっていた

それから2ヶ月。

私の手持ちカーディガンは7枚になっていた。全部、綿100%。全部、同じブランド。

クローゼットを開けるたび、ポリエステル組が隅で縮こまっている。

「ごめん……君たちの時代は終わったんだ……」

完全に、綿100%の魅力にハマってしまった。

肌触りの良さ、体温調節の絶妙さ、洗濯のしやすさ。そして何より、「着ていることを忘れる快適さ」

先週、沙織から報告があった。

「美咲ちゃん……私も買っちゃった……すごくいいねこれ」

「でしょ? この"着てることを忘れる感じ"が最高なんだよね」

「分かる! あと洗濯してもふんわりするのがいい!」

私たちは笑顔で頷き合った。綿100%の良さを知った者同士として。


エピローグ:ポリエステル組のその後

ちなみに、あのポリエステル3枚組は捨てていない。

ジムウェアの上に羽織る用として、第二の人生を歩んでいる。「どうせ汗かくし蒸れてもいいや枠」として。

適材適所。

でも、日常着としては——

「綿100%以外、考えられない」

今日も私は、グレージュのカーディガンを羽織ってオフィスへ向かう。背中サラサラ。気分上々。

ああ、人生って、素材で変わるんだな。

自分への投資が、毎日を変えた。

綿100%カーディガン、本当に買ってよかった。

〈完〉


【あとがき by 美咲】
現在カーディガン所持数:9枚になりました。給料日にまた買います。止められません。(でも後悔はしていません)

 

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